感想「肌ざわり」尾辻克彦

本の概要

この本は1980年6月に刊行され、1983年に文庫化、そして2005年に再び文庫化されました。

赤瀬川原平さんが、尾辻克彦名義で書いた小説です。表題作の「肌ざわり」は中央公論新人賞を受賞されているようです。表題作を含む8つの短篇が収録されています。

購入時期・再読回数

購入したのは2019年4月です。今回が初読ですね。

あらすじ

この本は短篇集なので、事項で簡単なあらすじと感想を書いていきたいと思います。

感想

「肌ざわり」

表題作です。父親が縁側で庭を見ていると、小学生の娘が帰ってきます。そして、娘は美容院に、父親は床屋に行きます。

ああすじだけ読むとなんだこれは?となると思いますが、この作品は非常に面白い作品です。この表題作だけでも読む価値がありました。

日常の些細な出来事、それにとことんフォーカスして、床屋と言う一瞬の非日常のなかに足を踏み入れた彼は、髪を切った後、娘とまた日常のある自分の家へと帰ってきます。

こういった物語は赤瀬川原平さんの真骨頂ですね……

「闇のヘルペス」

天井裏に蛇が住んでいると思っている男の話です。

話の途中で、劇中劇が挟まります。これは劇中劇というか、主人公の妄想なのですが……この妄想と、主人公の実際の生活が混じりあって奇妙な読後感を得られます。この作品も面白くて好きですね。

「内部抗争」

主人公と娘、そして主人公が教えている絵学校の生徒たちとピクニックに行く話です。

ピクニックは最初の予定とは違った感じになりますが、いろいろとあって、最後はほのぼのとした感じで終わります。

主人公が絵学校でどういう先生なのか、生徒達はどのような様子なのか、娘と主人公の暮らしはどういう感じなのか、と言ったことが読み取れて、面白い短編です。

「牡蠣の季節」

「冷蔵庫」

連作短編のような作品です。どちらも『牡蠣』が届くことが語られています。

「牡蠣の季節」のほうは、途中で挟まれる過去の話が少し恐ろしく(彼等はなぜあのような体験をしたのか?)、「冷蔵庫」のほうは途中で手紙が挟まります。

どちらも不思議な読後感に包まれること間違いないと思います。

この短編集は、どの作品も主人公である「私」と、その娘を中心に物語が進みます。二人の生活、彼等が何を感じたのかが伝わってきて。非常に面白い短編でした。特に、表題作である「肌ざわり」は非常にお気に入りです。

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