感想「ティファニーで朝食を」トルーマン・カポーティ(訳:村上春樹)

本の概要

1958年にアメリカで刊行され、日本では、村上春樹さんの新訳として2008年に刊行されました。それ以前も別の方の翻訳で流通していました。

本棚を探したところ、旧訳の方もありましたので、読んだら感想を書きたいと思います。

私の所有する分も2008年の初版で、書店で平積みされていたのをよく覚えています。

タイトルにもなっている「ティファニーで朝食を」という中編の他に、短編が3本収録されています。

収録タイトルは、「花盛りの家」「ダイアモンドのギター」「クリスマスの思い出」という作品です。

購入時期・再読回数

2008年か2009年くらいに購入したと思います。

再読数は、4回~5回くらいだと思います。

あらすじ

「ティファニーで朝食を」は、ニューヨークのあるアパートに越してきた小説家志望の主人公が、同じアパートに住むホリー・ゴライトリーという若い女性と知り合いになります。

ホリーにはかなり気まぐれなところがありますが、その気まぐれゆえにと言うべきか、誰もが彼女に夢中になります。もちろん主人公も。しかしホリーには秘密があり……。

感想

まともな人であればきっとホリーに夢中になるなんてことはないのかなぁと思います。

ちなみに、ここでいう「まとも」とはあくまで物語の登場人物的なまともです。

ホリーがいくら美人とは言っても、あそこまで話が通じなかったりすれば、普通愛想を尽かすと思います。

しかし、この話はホリーに夢中になる人達しか出てきません。

物語といった意味ではホリーに夢中にならなければ話にならないし、話が終わってしまうのでどうしようもないのですが、読んでいる読者にとって、そのまともじゃ無さに惹かれるという事実もあるのです。

その惹かれ具合に比例して、読者の物語への没入感は増えていきます。

そういった、ホリーの立ち居振る舞いに読者が共感できなければ、この本を読み続けることは難しいかもしれません。

もし仮に、私が登場人物なら、きっとホリーに首ったけになっているでしょう。

この話は恋愛小説かと聞かれれば違うと答えると思います。

しかし物語の登場人物達の心の動きは、恋愛小説以上に揺れ動きます。

ラストシーンまで、最後まで揺れ動く面白さがあるというのも、この小説としての面白さだと思いますね。

他に収録されている短編「花盛りの家」「ダイアモンドのギター」「クリスマスの思い出」どれも読んでいて興味深い話ですが、私としては「クリスマスの思い出」が一番好きです。

この「クリスマスの思い出」は、ラスト2ページの文章が非常に美しくて、読んでいて気分が良くなります。話自体は、少し物悲しい話なのですけれどね。

この短編は、「ティファニーで朝食を」に負けないくらいの存在感があり、とても名作だと思います。

あと印象的なのは、「ダイアモンドのギター」だと思います。

このお話は、刑務所での男がある男と出会う出来事なのですが、そこで起こる出来事であるが故の悲しみ、があると思いますね。

物語的にはハッピーエンドではありません。男は最後も、最初と同じです。

彼が失ったものは、一体なんだったのでしょうか?

この本は、全体的に、素晴らしい作品ばかり収録されています。トルーマン・カポーティ氏の物語の結末の文章の美しさは素晴らしいと思いますね。

このように、余韻の残る文章を書けるというのは、凄いことですよねぇ……。

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