感想「誕生日の子どもたち」トルーマン・カポーティ(訳:村上春樹)

本の概要

この本はトルーマン・カポーティ氏の短編集で、村上春樹さんの翻訳で2002年に刊行され、2009年に文庫化されました。

英語版Wikipedia等を参照したのですが、収録されている作品の初出を全て調べることはできませんでした。

購入時期・再読回数

2008年の12月に購入し、今回が初読になります。

あらすじ

短編集なので、事項で簡単なあらすじと感想を書きたいと思います。

感想

「誕生日の子どもたち」

10歳の大人びた少女と、彼女の家族が引っ越してきた町での出来事です。

この作品は、最初の数行で物語の最後が語られます。つまり、読者はそこに向かって読んでいくことになるのですが、最初にそれが語られても、「これからどういう話になるのか?」といった思いは消えないと思います。

むしろ、最初にそのように語られるからこそ、より一層物語に入り込めるのではないか、とさえ思います。

彼女が町に引っ越してくることによって変わってくる人間関係、そして僕。

「感謝祭の客」

僕とオッド・ヘンダーソンという人間についてのお話です。僕は、ヘンダーソンのことを、根性が悪い人間だと思っています。

僕には一番の親友がいます。それは60代の女性です。

あるパーティの場面で、僕は彼に復讐をします。その後に、親友であるおばあさんが僕に言う台詞が非常に秀逸です。

全体的に、優しいトーンで包まれていて、暖かくなるような物語だと思いますね。

「クリスマスの思い出」

この作品は、新潮文庫の「ティファニーで朝食を」にも収録されています。

読み比べはしていませんが、機会がありましたら是非読み比べをしてみたいと思っています。

クリスマスの前に、僕と親戚のおばあさんとでケーキ作るというお話です。

このお話は素晴らしく良いです。全体的に、クリスマス前の高揚感と、クリスマス後の切なさみたいなものがうまく同居しており、素晴らしいお話なのですが、物凄く切ない感情が手に取るように伝わってきます。

特に最後のページの文章が素晴らしいです。かなり切れがいい文章で書かれているのですが、その切れで引っ掛かれる我々の感情に、いつまでも残ります。

この作品は、本当、大好きな作品です。

「おじいさんの思い出」

父と、母と、祖父と祖母と一緒に住んでいる僕。僕は、父と母と一緒に遠くの町に引っ越しをすることになっています。祖父はなにやら秘密を持っています。

その秘密があれば僕は引っ越しをしなくても済むのではないか?と思い始めますが……。

あとがきを読むと、この作品の生まれた経緯が分かります。本当にそうなのか?と思いますが、私はそうだと思いますね。

この作品も、非常に素晴らしい作品です。主人公の少年の思いが、読者の感情に訴えてくる作品になっていると思います。

この短編集に収められている作品は、少年/少女時代のイノセントな感情が、読者にダイレクトに伝わってくる作品ばかり収録されていますので、非常にお勧めの短篇集です。

読み割った後の物悲しさは、私たちが少年/少女だった頃の終りをはっきりと実感するがゆえに、そう思うのかもしれませんね。

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