感想「愛について語るときに我々の語ること」レイモンド・カーヴァー(訳:村上春樹)

本の概要

この本は1981年にアメリカで刊行されました。レイモンド・カーヴァーさんの3冊目の短編集になります。

日本では1990年に村上春樹さんの翻訳で刊行され、2006年に部分的に改められたものがノベルズ版として刊行されました。

購入時期・再読回数

2018年の12月に購入し、今回が初読になります。

あらすじ

この本は短編集なので、次項であらすじと感想を書きます。

感想

気に入った短編をいくつか紹介します。

「ダンスしないか?」

男が自宅の前庭でヤード・セールをしていると、若いカップルが品物を見に来ます。

この話はそうとう変な話です。男がものを売って、ダンスしないかと誘う。それだけの話なのですが、若者の女性が最後に語る文章がとにかく素晴らしいんです。

言葉では伝えられない状況をつたえる文章として、これほど的確な文章には出会ったことがありません。あまりに感動してしまい、涙が出る思いでした。

「ガゼボ」

モーテルのマネージャー職についた夫婦の物語です。男は妻を愛していましたが、メイドと関係を持ってしまい、それが妻に見つかってしまうという話です。

なんとも情けない話ですが、いくら言葉で言い訳をしても、行動を起こすとはそういうことだと思います。そこにはおそらく覚悟が必要なのでしょうね。その覚悟を持てるほどの理由があるのでしょうか?私には分かりません。

「出かけるって女たちに言ってくるよ」

幼い頃からの親友が、結婚をしても家族ぐるみで付き合いを続ける話です。

正直に言いますと、この話は紹介しようかどうか迷いました。読んでいて、楽しい気分になる物語では全く無いからです。むしろ不愉快になる可能性があります。

それでも紹介したのは、こういうダークサイドの物語というのも作家にとっては必要なのだと思ったからです。お勧めはしませんが、読んでいて情景が浮かんでくるような物語です。

「愛について語るときに我々の語ること」

仲の良い夫婦2組の4人が集まって、酒を飲みながらそれぞれが愛について語り合うという物語です。

こういった会話がメインで物語が進むような話を読んだのは初めてだったので、かなり衝撃受けました。この4人のように、愛についてはそれぞれ言いたいことがあるとは思いますが、結局は自分が信じたものをどう理解してもらうかというところに掛かっている様な気がします。人生は難しい。

「もうひとつだけ」

女房と娘に出て行けと言われ、出て行く男の話です。

これはもう情けない話で、思わず笑ってしまいます。最後の最後まで情けないのひと言につきますね。しかし、言いたいことがあるのに言葉が出ない事って、重要な場面で良くありますよね。それが言いたかったので、この話も紹介しました。

読んでみて思うのは、この短編集の登場人物達は離婚・浮気といったことをしていますが、でもそれは本当に駄目なことなのでしょうか?人間の心は三角定規ではかれるものなのでしょうか?

私には良く理解できませんが、沢山の物語を読んでそんなことを考えました。

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