感想「リトル・シスター」レイモンド・チャンドラー(訳:村上春樹)

本の概要

この本は1949年に刊行された、アメリカの作家、レイモンド・チャンドラー氏の「フィリップ・マーロウ」ものの5作目です。

日本では、この村上春樹さんの新訳版「リトル・シスター」が刊行されるまで、「かわいい女」というタイトルで、清水俊二さんの訳で刊行されていました。

現在は、「リトル・シスター」のみ流通しているみたいです。可能なら、旧訳にあたる「かわいい女」も読んでみたいと思っています。

私の所有しているものは2012年に刊行された文庫版で、2016年の5刷となっています。

購入時期・再読回数

これは2017年に購入しました。最近だったのでよく覚えています。

再読数は、今回読み返した分で3回目になります。この作品は非常に気に入っています。

あらすじ

若い女性の依頼人がマーロウを訪ねて、彼の事務所にやってきます。

彼女は「行方がわからない兄を探して欲しい」とマーロウに依頼をします。

なんだか怪しいと思いながらも、マーロウは依頼を引き受けます。

そして手がかりを得て、あるところに行くのですが、その先で殺人事件に遭遇します。その先でもまた、同じように殺人事件が起きます。

だんだんと事件の確信に近づいていくマーロウ、そして依頼人の女性は……。

感想

この物語は、もう3回読んでいますが、未だに誰が誰を殺したのかというのがよく分からない(笑)。

話が酷く入り組んでいるんです。多分、メモをとりながら読むべきなのだと思います。

そういった感じなのですが、それでも読ませるんですよ、このお話は。

読んでいて、少しおかしいのではないか?と思うのですが、非常に物語に引き込まれます。

そこが、この物語の魅力になっていると思いますね。

繰り返しになりますが、読み進めていくと、おかしいな、と思うところや、ちょっと辻褄があわないところがいくつか出てくるんです。

例えば、主要な登場人物である依頼人の女性と、主人公である私立探偵フィリップ・マーロウが会話をしているシーンで、マーロウが、あのとき君(依頼人の女性のことですね)がこう言った時の態度が……といった場面が途中出てきます。

しかし、前のページに戻って、該当シーンを読んでも、そのシーンで、該当する会話が無いんです。

つまり、前のシーンでは、その会話のシーンは存在していない。

しかし、そんな些細なことは読んでいても、実はあまり気にならないんですね。

それは、このタイトルの由来にもなっているリトル・シスター=依頼人の女性が非常に魅力的だからだと思いますね。

もちろん、マーロウもその空気を感じ取ったからこそ、彼女の依頼を受けたんだと思います。

あと、読んでいて凄く感じることは、当時のアメリカの空気なんですよ。

私はアメリカに行ったことがありません。それどころか日本から出たことすら無いんですね(笑)。

そんな私にさえ、この時代のアメリカの空気を、文章から肌で感じさせるレイモンド・チャンドラー氏の文体、あるいは文章が醸し出す空気は、とても魅力的です。

作品を読み終わった後に、村上春樹さんのあとがきを読むと、私も全く同じこと感じます。

正直は話、私はこの作品が、今まで読んだフィリップ・マーロウものの中では一番好きな作品ですね。

まだ未読の作品があるのが喜ばしいのですが、早く読みたくもあり、本屋でいつも悩ましい思いをしています。

でも少しでも早く買って読んだ方が良いんですよね。本は読むためのものですから。

自分に取り込んだ物語は、自分の中で生きると思いますから。そこが読書の魅力ですね。

(しかし「あとがきは読まない」というブログタイトルなのに、早速あとがきを読むと……なんて書くのはタイトルに全く沿いませんね(笑)。もう少し別のブログタイトルを考えればよかったかな……)

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