感想「レキシントンの幽霊」村上春樹

本の概要

この本は1996年に刊行され、1999年に文庫されています。1991年から1996年に発表された短篇のまとめた短篇集になっています。私が所有しているものは2005年の8刷となっています。

購入時期・再読回数

購入したのは2006年くらいだったと思いますね。

再読回数は4回~5回くらいだと思います。

あらすじ

短篇集なのであらすじは難しい(笑)。ただ、どれも不思議な話です。

感想

この本を読んでから思ったのですが、これより先に「蛍・納屋を焼く・その他の短編」を先に読めばよかったと思いました。

その理由はこの両方の短篇集に収録されている「めくらやなぎと、眠る女」(レキシントンの幽霊)と「めくらやなぎと眠る女」(蛍・納屋を焼く・その他の短編)が関係しています。

この二つは同じ短篇のなのですが、オリジナルの「めくらやなぎと眠る女」に加筆修正しちょっと短くなっているバージョンがこの短篇集に収録の「めくらやなぎと、眠る女」になります。

この短篇は、「ノルウェイの森」との関連性がよく言われるようですが、村上春樹さんによるとストーリー上の関連性はないとのことです。

ただ、両方を読まれた方なら、共通するシーンについて想像を広げたくなると思います。また、そう思わせてくれる短篇になっています。

この短篇集に収録されている短篇はどれも非常に印象的なのですが、その中でも私のお気に入りの「トニー滝谷」と「沈黙」について感想を書きたいと思います。

「トニー滝谷」は、ショートバージョンとロングバージョンがあり、この短篇集に収録されているのはショートバージョンになります。

ロングバージョンの方は、「村上春樹全作品 1979~1989 ⑧ 短篇集III」に収録されています。こちらもいずれ紹介したいと思っています。

ちなみに、「トニー滝谷」はイッセー尾形さん主演で2005年に映画化されています。原作のテイストが生きていて、なかなか面白かったですよ。静かな映画でした。

この「トニー滝谷」という話は、孤独だったトニー滝谷が、結婚して孤独じゃなくなるのですが、その後また孤独になってしまうという話です。なぜ?と思われた方は読んでみてください。自分で読んでこそこの話は深みが伝わると思います。

「沈黙」について。この短篇は、村上春樹さんの短篇の中でちょっと異色だと思っています。物語に血の匂いがするんですよ。といってもそんなに殴りあうような物語ではないんです。

主人公はずっとボクシングをやっています。そして、彼が中学生の時、クラスにいる全く馴染めない男と喧嘩をするんです。その男はそのことをずっと根に持っていて、ついに復讐してきます。

結末は読んで頂きたいので詳しくは書きませんが、この話はそのあとの村上春樹さんのルーツになっている感じが凄くします。

初期の物語ももちろん大好きなのですが、こういった人間ぽさ(という言い方も何か変ですが)が強く出ている現在の物語も、私は大好きです。

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