感想「女のいない男たち」村上春樹

本の概要

この本は2014年に刊行され、2016年に文庫化されました。収録されている短篇が雑誌に掲載されたとき、内容で抗議があり、内容の一部は雑誌掲載時と違っているそうです。しかし村上春樹さんも書いている通り、内容に大きな違いはありません。

購入時期・再読回数

2016年12月に購入しました。当時私が働いていた会社では、年1度社員旅行があり、その電車の中で読むために購入しました。

今回で再読回数は4回目かな?久しぶりに読みましたので、新鮮な部分もかなりありました。

あらすじ

近年の村上春樹さんの短編集は、共通した流れのようなものがあり、この本も例外なくその流れがあります。何というか・・・ひとつひとつの話は全く違うのですが、タイトルを中心としていると言いますか・・・テーマがあって、それを中心として話が絡み合っているような気がしますね。

1本の木がテーマだとしたら、各短編は果実みたいですね。木を眺めても良いし、果物を囓っても良いので、短編集は本の楽しみとしてはある意味長編小説よりもお得なのかもしれません。

この本は6本の短編が入っています。どれも非常に印象に残る短編です。後味が良いものと、そう言い切れないものとに分かれますが、後者の方でも自分が進むべき道が見えていると思いますので、希望が無いわけではありません。

特に、5本目の「木野」は、今までの村上春樹さんの短編では無かったタイプの話です。

自分の妻が、同僚との浮気をしているところを見た主人公は、それを切っ掛けに会社を辞めバーを始めます。そんな主人公の木野ですが、途中で人生の方向を変更せざるをえなくなります。そして結末は・・・

感想

はっきりとしたエンディングが読者に示される訳ではありません。方向性が示唆されるだけです。それから先は、私たち読者が想像するしかありません。

それでも、この「木野」は、この短編集の核になる物語と言い切ってしまって全く問題が無いと思っています。これ以前の4本の短編と、この話では話の緊張感が全く違っています。読んでいてそれを読者ははっきりと感じると思います。そして、この「木野」が、この短編集を1段落上のステージへ持ち上げています。その結果、次作の長編「騎士団長殺し」が生まれたと私は考えています。

余談ですが、最後に入っている「女のいない男たち」読んでいる途中に思い出したのですが、私も彼と同様に、女のいない男たちになったことがありました。

もう過去のことですっかり忘れていたのですが、この本のおかげで思い出したというわけです。彼女とは同棲したいたのですが、ある土曜の朝「友達と出かける」と言ってアパートから出ていくのを見送りました。もちろんその友達(というか彼女の同僚だったのですが)が迎えに来たのは私も見ています。マツダのユーノスロードスターでしたね。色や、幌が開いていたかどうかまでは覚えていませんが。

夕方、彼女から電話があり、その友達の家に泊まるといわれたのです。私はいいよと答えました。そして次の日の日曜日、両親と大きい車で荷物を取りに来ました。

昨夜の電話からそんな気がしていたのですが、実際そういう状況下に置かれると正直きついですね(笑)。そのあと、ビートルズのイエスタデイをすぐ聞きましたよ。その時はまさしく自分の為の歌だと思いました(笑)。

ちなみにこの本にも「イエスタデイ」という短編が収録されていますが、それを読んでも当時のことは思い出しませんでした。

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村上春樹
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