感想「中国行きのスロウ・ボート」村上春樹

本の概要

この本は村上春樹さんの最初の短篇集で、1983年に刊行されました。私の所有している文庫本の奥付は、2007年で改版17刷となっています。

購入時期・再読回数

この本を購入したのはたしか2008年くらいだっと思います。

5~6回くらいは読み返していると思います。

あらすじ

この短篇集には、7つの短篇が収録されています。表題作になっている「中国行きのスロウ・ボート」が最初に収録されています。この話も非常に印象的なんですよ。このインパクトが本を読んでいる間ずっと最後まで続きます。

感想

この本は、時期でいいますと「1973年のピンボール」から、「羊をめぐる冒険」の後に書かれた短篇が収録されています。

当たり前なのかもしれませんが、物語のテイストの感じが、非常にその2作に似ています。あの最初期の村上春樹さんの作品特有の、言葉一つ一つが感情にダイレクトに突き刺さるあの感じがとっても強いです。

剃刀のような文章という表現をときどき目にします。それとはこれらは違っていて、もっと優しいけれど鋭いんですよ。矛盾しているような気がしますが、実際そうなんですよね。そういうことが起こり得るのは、これが物語だからだと思います。

この本を読んでいて思うのは、村上春樹さんの物語のマテリアルって、この時から変わっていないってことなんです。もちろん物語の内容や文体は違っています。しかし、そのコアにある部分って、ずっと一貫していると思いますね。

だからといっていいのかどうか分かりませんが、どの時期の本を読んでも、違和感無く読めるのだと思います。

個人的には、「中国行きのスロウ・ボート」、「午後の最後の芝生」、「シドニーのグリーン・ストリート」が気に入っています。

「午後の最後の芝生」は、芝刈りのアルバイトをしている大学生の話です。アルバイトを辞めることになり、最後に芝刈りに向かった家でのやりとりが、非常に心に残ります。

「シドニーのグリーン・ストリート」は挿絵が付いており、分かりやすい文体で書かれています。この分かりやすい文体でも、魅力が伝わってくるあたり流石だと思います。

この文庫の表紙は、安西水丸さんが描いています。シンプルでありながら良い表紙だと思いませんか?とくに白と青のバランスが。あとこの文庫の裏表紙の紹介文もとても良いですよ。ぐっときます。

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