感想「象工場のハッピーエンド」村上春樹 安西水丸

本の概要

この本は1983年に刊行され、1986年に文庫化されました。安西水丸さんのイラストがメインで、その間を縫うように村上春樹さんの書いた13の詩というか、短篇が入っています。

購入時期・再読回数

良く覚えていないのですが、2004年15刷の奥付になっているので、2005年か2006年くらいかなあ?

再読回数は4回~5回くらいだと思います。

あらすじ

この本は短い短篇なので、あらすじはありません。

感想

この本はとても不思議な読書体験になると私は思っています。少し文を読むといつもの村上春樹さんのあの文章なのですが、非常にセンチメンタルな印象が強いんです。

まるで夏の終わりみたいな印象を与える本です。

どうしてそういった印象を受けるのか、少し考えてみたのですが、もしかするとこれはまだ若かった頃の村上春樹さんが、純粋に自分の為に書いたからなのではないか、というのが私の結論です(この考えは100パーセント私の想像です。念のため)。

この年代の村上春樹さんの小説に登場する「双子」や、「羊男」そして後の小説に重要なアイテムとして登場する「カティーサーク」といったマテリアルが、ところどころにちりばめられています。

そういった短篇なのですが、センチメンタリズムがマテリアルの上を行くんですね。

安西水丸さんのイラストも、どことなく空間があるような印象を受けて、その隙間に引き寄せられるかのような感覚というのも、この本のもの悲しさをさらに加速させている気がします。

それでも最後の3つの短篇は、短いながらも物語を読んでいる感覚があり、ここで少し現実に戻る気がしますね。

巻末の対談は、打って変わって本当に笑えます(笑)。初期の長編の表紙を書いた佐々木マキさんと、初期の短篇集の表紙を書いた安西水丸さんを選んだ理由にも少し触れられていて、この対談はためになるんじゃ無いかな、と思う対談です。笑える部分が多いのですけれどね。

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