感想「月の上の観覧車」荻原浩

本の概要

この本は2011年の5月に刊行され、2014年に文庫化された荻原浩さんの短篇集です。

短編が8本収録されています。

購入時期・再読回数

購入したのは2018年の11月、今回が初読になります。

あらすじ

短篇集の為、事項で簡単なあらすじと感想を述べたいと思います。

感想

収録されいている短編のうち、いくつかのあらすじと感想を述べます。

「トンネル鏡」

新幹線に乗って、過去を思い出す五十前の男性のお話です。

このお話はなんというか……非常に切なくなるようなお話ですね。もちろん、主人公はまだ生きているわけですし、過去のことを懐かしがっているというわけではないのですけれど、今までの彼の人生が、断片的ながらも非常に読み手に伝わってきて、一本目からこれか!とこれからを期待させるお話になっています。この話、大好きですね。

「金魚」

妻を亡くした男性の、今までの独白です。

主人公は、妻を亡くした後、世界に色を無くしてしまいます。主人公はある祭りで金魚を手に入れるのですが……

非常に切なくて、少し悲しいお話です。主人公、そして亡くなった妻が幸せだったのかどうかはわかりません。主人公は色々と後悔をしています。最後まで、そのトーンは変わることがありません。しかし、ラストシーン、金魚を水槽に入れるシーンがあるのですが、ここには救いがあるような気がします。

「チョコチップミントをダブルで」

離婚して三年ほどたった一人の男性が主人公のお話です。主人公は激務の会社を辞め、職人になろうと決意しますが……

このお話もですね、少し物悲しいお話なんですよ……でもね、この主人公は、幸せではなかったのか? と問われると、そうではない、と思うんですよね……。こういったテイストのお話が多い短編集ですが、タイトルに繋がる、ラストがとっても良いお話です。希望があるような気がします。

「月の上の観覧車」

企業の社長である主人公が、夜に観覧車に乗るお話です。

ゴンドラの中には、不思議な同乗者、そして窓からは不思議は光景を、主人公は見ることが出来ました。

このお話も、主人公が過去を振り返るお話になっています。最後に、主人公が見たものは、これからもまだ人生が続くことの示唆なのでしょうか? それとも……

この短編集は、全体を通して、各主人公が過去を振り返る、というお話になっています。彼らには、今までの人生があり、そこで失ってしまったものもたくさんあります。

しかし、希望を失ってしまったかもしれない彼らにも、これからを生きる希望がありました。それは、多分ずっと持っていたものなのだと思います。

荻原浩さんは、こういった人間模様を書くのが非常に上手だと思っています。それでいて、最後に必ず希望があります。だから私は荻原浩さんの書く人間と、彼らが作り出す物語が大好きです。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村